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体験や物語から伝えたい、正しく使えば言葉はすばらしいと

このブログは世知辛い現代を頑張る人に向けて役に立つ情報を僕なりの解釈で語るブログです

第5話 事件の共通性と不穏な影

引き続き私たちはルーディを散策の道中モニカの口から店長の交通費へのケチ具合が伺えた

「なるほどねぇ、そりゃこってりと絞られちゃうよ。この前なんて『君は旅費は召喚術があるから移動費はタダ同然さ』なんて言うもんだから困っちゃうよね、店長のケチんぼっ」

 モニカの文句にエイミーがフォローするかのように店長の過去を語り始めて私もそれに続く。

「でも店長あの街に恩があるみたいだからね。 両親亡くして大変な時も街総出で差し入れしてくれたみたいだし」

「そうそう、後日お礼の品を持っていったら『お礼はいいからいつかあんたみたいに困ってる人がいたらその時に助けてあげな』いう出来事があって、それが私達の事務所のルーツになってるんだとか。

 とまぁここまでは美談で終わるのだけれど、それが行き過ぎて日頃の赤字になってるんだけどね。 ギルバートさん物には限度というものがあるのですよ。

「なんかあちこちの魔物さん昔もそうだけど最近は今までにも増して凶暴化してない? 気のせいならいいんだけど、寝不足かな? 2人共昨日行ったって村はどうだった?」

 魔物の凶暴化はちょうど私がピオスに移住する前後から世界中の動物は狂暴化を見せ人々から『魔物』と呼ばれるようになる。 その傾向がここ近日尚更強く表れてきて私達の仕事も街や村、いろいろな場所への護衛の依頼が増えている。

 私は近況の魔物について問いかけてくるモニカに答えた上で聞き返した。

「確かにそうだよねぇ。 昨日の依頼なんて村の村長さん異形化しちゃってたし、あれルーシー来てくれなかったら私もエイミーも冗談抜きで死んでたよ。 モニカの遭遇した魔物ってどんなんだったかな?」

「んとね、目が赤くて前足や尻尾が刃物みたいになってて物凄い速さで突っ込んでくるの。

 んで倒してみたら手配中のドロボーさんで助けてはあげたかったんだけど、ノエル姉のレイズみたいな術使えないからスリさん亡くなっちゃった。 それはそれでかわいそうではあったんだけどね、それにしてもゴーレムちゃんいなかったら危なかったな」

 焦る私にエイミーが『まさか』といった感じで聞いてきた

「ねぇノエルそれって」

「うん、その魔物ロカム村の村長さんと多少の違い以外はほとんど同じ症状だよ。 ねぇモニカ他にもなにがあったか教えてくれないかな?」

「えっとね、うわごとのようなこと言っててヤバそうな人だと思って様子見してたんだけど、急に叫んだのと同時にヤバい生き物に変身してそのまま戦うことになった」

 

 人間まで魔物化するなんて、でも村長さんとはどこか違いが..計画性の有無? 一度事務所に戻ろうかと提案しようとした時、その声は門の方角から聞こえた。

「魔物だっ、魔物が侵入してきたぞっ! 女性や老人、子供たちは屋内へ退避っ!」

 街の人の逃げ惑う姿をうかがう私達に警備の人が逃げるよう促すが私とエイミーは協力する意思を見せる。

「君たちもそこのお嬢ちゃんを連れて逃げなさいっ。 ここは我々に任せてっ」

「いえ、私達は便利屋の者ですので戦いの心得は一通りあります。 モニカ、街中の魔物退治に避難誘導お願い。 エイミーは街の入り口を見てきて」

「オーケー、できるだけ急いで戻るから持ちこたえてよね」

 一人、また一人と私とモニカは街の人を避難させた。 あの魔物たち、やっぱり変異してる。 今の所は警備の人もいるおかげで大きな被害も出てはいない、この調子ならなんとか無事に..と思ったのも束の間、逃げ遅れたおじいさんにオオカミ種のガルムがうなり声をあげて迫っていた、その状況におじいさんは打ち震えている。

「うぅぁ、ワシなど食っても美味くないぞ、嫌じゃ、死にとうないっ」

「おじいさんっ、今助けますっ」

  私は雷の英霊術を構えるが発動までタイムラグが、間に合わないと思ったその時だった。

 --シュッ--

  高速の矢がガルムを捉えた、この矢はっ。

「危なかった、なんとか間に合ったわね、おじいさん大丈夫ですか? 今の内に逃げてください」

 お礼の言葉を述べるおじいさんにエイミーは『お礼はいいですから早くっ』と促すとおじいさんは近くの屋内へ無事避難した。

「ミー姉、外の様子はどんな状態? こっちは魔物が5匹くらい残ってる」

「まずいよ、入り口に6匹くらい魔物が待ち構えてる。 このまま門を開けるとまた街に流れ込んでくるかも」

 おかしい、街の周囲に魔物除けの結界が張ってある以上街に入ってくることはないはずなのに、このままじゃおじいさんみたいにまた街の人が。

「エイミー、モニカ、休暇はおしまいっ、街の安全の確保に急ごう」

「そうね。 モニカ、街中は任せて大丈夫?」

「余裕余裕、スラちゃんやゴーレムちゃんは頼りになるからね。 ノエル姉霊素分けて、この子たちがいれば負けないんだからっ」

 モニカは拳を突き上げながら『うおぉー』と街中へ進んでいった。

「よし、街はモニカのお陰で大丈夫そうね、後は街の外、それでさエイミー‥6匹って言ったよね? さっきより増えてない?」

「ちょっと、そんなことあるっ?」

 ガルムが3頭 鳥種のピークが4羽 人型のゴンガ3頭といったところか。

 

 狼は尻尾 鳥は羽 人型の獣は拳が硬化または鋭利化していて眼が紅い、モニカの言った特徴、先の依頼の村長さんと非常に合致している。

「エイミー、やれる?」

「やるしかないでしょ? 今回はノエルも支援回復一辺倒なんて手加減はできないわよ?」

「わかってる。 傷つけるのはなるべくならしたくないけど、正当防衛ってことにはなるよね」

 私は武具を杖から短剣に持ち替える。 今は私とエイミーが街の最終防衛線、HEART・PROTECTIONの名に懸けてこの街は絶対に護ってみせるっ。